Loving Touch…
いま、ある本を翻訳しているのですが、この表現がたくさん出てきます。
『ロミロミとはLoving Touchである。』
アンティ・マーガレット女史というロミロミ中興の祖が言った言葉です。
実はこれがとても困った問題なんです。
白人はハワイアンの文化を壊してしまいました…というかハワイアンが白人の近代文化にあこがれて自分たちで自分たちの優れた文化を壊してしまい、ついでに「ロミロミ」に代表される優秀なハワイアンの医療「カウカ」をも壊してしまいました。
ロミロミはかなり長い間「やってはいけないこと」になってしまったわけです。
ハワイアンの「カウカ」つまり医療は西洋医学に置き換えられました。
それをアンティ・マーガレット女史がマッサージの部分だけをピックアップしてボディケアの方法として復活させました。
このロミロミを広めるために言った言葉が先の言葉です。
「ロミロミとはLoving Touchなのよ」
そしてこの言葉が実は含まれています。
「(だから、ただのマッサージではないのよ)…」
たしかにアンティ・マーガレットにインタビューしたときにも私に言ってくれました。
「Yoshi、ロミロミは愛よ」
素晴らしい思想ですし、確かにアンティの手は素晴らしい手を持っていました。
きっと天才だったのだと思います。
しかしこれがロミロミを勉強する者にとって、本当のロミロミを理解するのに妨げになってしまっているからちょっと困ります。
実は実際には「ロミロミはLoving Touch」という思想はない。
この思想はキリスト教的な後々の理解にすぎないんです。
ハワイアンは文字を持たなかったために、白人が書き残した本を参考に歴史を理解するいことが多い。
そのためにどうしても物事の理解がキリスト教の色眼鏡を通して見られ伝えられてしまっていることが多いんです。
この「ロミロミはLoving Touch」もそう。
ロミロミを説明するために、ハワイアンの大御所までがこの言葉を使ってしまっている。
まあ、今の大御所は、いくら歳だとはいってもハワイ文化が捨てられてしまった1820年代からはかなり遅くに生まれてきた人たち。
しかたありません。
古代ハワイアンの考え方は
「ロミロミとは神からの贈り物である。」
という考え方です。
神とは八百万の神、つまり「自然」です。
つまり「ロミロミとは神が与えてくれた自然の贈り物である」ということなんです。
自然のエネルギーをざっくり言うと「マナ」といいます。
(色々なマナがあるらしいんですが、難しいので放っておきます。)
このマナがかけるから人は病気をする。…これが病気の考え方です。
だからマナを元に戻せば病気は治る。…これが医療に関する考え方です。
アンティマーガレットは親が早くに亡くなった関係で神学校で育ちました。
だから「神」=キリスト=「愛」
という公式でモノを理解しました。
「Loving Touch」というのはそこから生まれた言葉なんです。
とてもいい言葉だと思うし、とても素敵な思想なんですけど、ちょっとだけ古代のハワイアンの考え方とはズレがあるんです。
「Loving Touch」はときどき「手から伝わる愛情」などと置き換えられたりしますが、それもちょっとどうか、と。
だから困ってしまうんです。
どう訳しましょう。「Loving Touch」…